日々のコロナウイルス新規感染者が減少傾向となり、一部の県では緊急事態宣言の延長が解除されたかと思った矢先に、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長による女性蔑視発言が国内みならず国際社会から問題視され会長が辞任。相変わらずの世相に呆れ果てていたところに東北での地震。それも10年前の東北地方太平洋沖地震の余震だというから驚きである。今年になってまだ2ヶ月足らずにもかかわらず激動続き。2021年はこの先、どうなって行くんでしょうね。

さて、3月にはAIR MAXシリーズの販売促進を目的としたAIR MAX DAYなる記念日を軸にしたキャンペーンや催しが毎年首都圏で開催されるのですが、今年は例年の様なお祭り感を味わえるかどうか?(と言いつつも毎回置き去りにされた感のある地方在住者にとっては然程の影響はないかも?ですが)。

3年前、NIKE 1997 Spring Summer(SS)カタログに掲載されていたランニングのフラッグシップモデルであるAIR MAXの20周年記念モデルがソールユニットをチェンジして発売されました。
この様なまわりくどい表現をしたのは…元々、AIR MAX 97 SSだったモデル名をナイキが突如としてAIR MAX 96 llと言い放ったからです。
1997年当時、Boon等の雑誌ではAIR MAX 97もしくはAIR MAXの97年モデルとして掲載されており、その中にはナイキジャパンが監修しているものも存在します。
ですが、ナイキの本社はアメリカです。我々がAIR MAX 97 SSと認識していたモデル名を実はAIR MAX 96 llという名称なんだど総本山が言ってしまうとそれが正解となってしまいます(今更、何を血迷った?と思ったのはここだけの話ですw)。

確かに1997SSカタログに掲載され1997年春に発売されたAIR MAXのソールユニットは1996年に登場したAIR MAX 96と全く同じものが搭載されています。
成程そうか!アッパーのデザインでも掲載されたカタログの年代でもなくエアユニットの違いによってシリーズ(車でいうところの年式)を区分けしているのか!だとしたらナイキが言う様に1997年7月に新たなエアユニットであるデュアルプレッシャーエアを搭載した新幹線をモチーフにデザインしたというAIR MAXこそが唯一の97であり、97年発売のAIR MAXをSSとFWで区別する必要はなかってのか!と思ったわけです。

が、しかし…そこで大きな疑問が生じました。
数年前、Supremeとのコラボで復活したAIR MAX 98はよくご存知だと思います。ナイキもこのモデルをAIR MAX 98と明言しています。
ですが、1998年のカタログに掲載され同年に発売されたこのモデルのソールユニットは前作のAIR MAX 97(FW)と全く同じデュアルプレッシャーエアなのです。
更に1998FALL(F)とHoliday(H)カタログにはアッパーデザインだけではなくデュアルプレッシャーエアを3層構造に改良したトリプルプレッシャーエアなる進化型のソールユニットを搭載したAIR MAXが発売されています。
そして99年Spring(S)シーズンにもトリプルプレッシャーエアを搭載したAIR MAX 99(仮称)が登場しました。
この頃、リテーラーはもとより私達ユーザーも97年のAIR MAXが2種類あったのだからAIR MAX 98も複数パターンあるんだろうと深く考える事はありませんでした。

AIR MAX 96と同じソールユニットのAIR MAX 97 SSをAIR MAX 96 llとするのが正解ならば、AIR MAX 97 FWと同じソールユニットのAIR MAX 98は98ではなくAIR MAX 97 llと位置付けるのが正しいのではないか?
そして1998年FシーズンとHシーズンのAIR MAX 98 のセカンドバージョンだと思っていたモデルこそが真のAIR MAX 98であり、99年Sシーズンの AIR MAXが98 IIとなるのでは?
そうなのです。AIR MAX 97 SSだと思っていたモデルをナイキがAIR MAX 96 IIとしてしまった事で整合性が失われ辻褄が合わなくなってしまったのです。
※文章だと説明が分かりづらいので表(下記)にしてみました。
モデル名 ディテール エアユニット 注釈
AIR MAX 95 ビジブルフォアフットエア+マルチチャンバーエア
95年発売
AIR MAX 96 ビジブルフォアフットエア+改良マルチチャンバーエア
※95に搭載されたエアユニットを改良
96年発売
AIR MAX 97 SS
(AIR MAX 96 ll)
ビジブルフォアフットエア+改良マルチチャンバーエア
※95に搭載されたエアユニットを改良
97年Spring Summer発売
AIR MAX 97 FW フルレングスマックスエア
(デュアルプレッシャーエア)

97年Fall Winter発売
AIR MAX 98 フルレングスマックスエア
(デュアルプレッシャーエア)

98年Late Spring発売
AIR MAX 98
(AIR MAX 98 改)
画像なし フルレングスマックスエア
(トリプルプレッシャーエア)

※98LSに搭載されたエアユニットを改良
98年Fall、98年Holidayモデル
AIR MAX 98
(AIR MAX 98 改ll)
画像なし フルレングスマックスエア
(トリプルプレッシャーエア)

※98LSに搭載されたエアユニットを改良
99Springモデル
上記画像の一部:ナイキ完全読本(ソニー・マガジンズ、Boon EXTRA(祥伝社)より
ご存知の通り、1998年までに発売された95、96、97、98のオリジナルは全てAIR MAXというモデル名で統一されています。97年9月に発売されたイエローグラデの初復刻もAIR MAX SCであり95の表記はありません。
AIR MAXというモデル名に年代(年式)を付けて呼称し始めたのはユーザーや雑誌メディアであり、後付けでしかありません。記憶が曖昧で正確な時期は分かりませんが、95年以後のAIR MAXのモデル名の後に95や97とボックスラベルにナイキが明記し出したのは2000年代に入ってからです。

ナイキは1年を4つにシーズン(90年代初頭?までは2シーズンだった)を分け(現在もそれは変わりません)て展示会を開き商品を供給しています。少なくとも95年以降は毎年最初のシーズン(SpringまたはLate SpringもしくはSpring Summer)のカタログに新型のエアユニットを搭載したAIR MAXをラインナップに加え発売していました。
95年のAIR MAXのビジブルフォアフットエア+マルチチャンバーエアをビジブルフォアフットエア+改良マルチチャンバーエアにバージョンアップさせたAIR MAXを96年に発売しています。
ですが、その次に計画していたフルレングス化を目指した新型のデュアルプレッシャーエアの開発が1997年春にどうしても間に合わず、それでも例年通り97年SSカタログのランニングカテゴリーに新型のAIR MAXをねじ込まないわけにはいかず、苦肉の策?としてアッパーデザインを変え、96年型のエアユニット(ビジブルフォアフットエア+改良マルチチャンバーエア)を搭載したAIR MAX(97SS→後の96ll)を誕生させたというのが真相だと当時関係者の方から聞いていました。

98年にAIR MAX PLUSに初搭載されたTUNED AIR(チューンドエア)等の新型エアユニットが誕生するものの、それ以降は過去のツーリングを流用、もしくはマイナーチェンジさせたAIR MAXの名を冠したモデルがリリースされますが注目を浴びることは殆どありませんでした。
そして、2006年に大々的なキャンペーンと共に新たに進化したエアユニットを携えたAIR MAX 360が登場。更にその11年後の2017年にミッドソールそのものをエアバッグで構成したAIR VAPORMAXへとその系譜は続くこととなります。
 
一方、2000年代に入った頃からAIR MAXのヘリテイジモデルをアレンジした今に繋がる名作が数多く登場しています。画像はそのほんの一部です。
【上段】今も語り継がれるAIR MAXの名作 【下段】2021年最新作 AIR MAXのてんこ盛り
【結論】
私達が認識していたAIR MAX 97 SSは、本家本元であるナイキが言うAIR MAX 96 llという名称が正式なものとなってしまいますが、やはりAIR MAX 97 SSと呼ぶのが正しいのだとオリジナル当時をリアルタイムに知るオールドユーザー達は頑なに思います。
だって同考えても辻褄が合わないんだもの(苦笑)。

ナイキって、悪く言えば適当でアバウト。良く言えばおおらかでフレキシブル。これもナイキクオリティの一端と解釈し受け入れることが長くナイキファンを続ける秘訣なのでしょうね。

でも、ある日突然、AIR JORDAN 1をAIR FORCE 1だと言い出すかも?知れないですよ(笑)。
 
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